病というものについて
 ―心と体を強くするためには―

人類は何度も何度も病気・疫病と戦いその度に打ち勝ってきました。病は本人だけでなく大勢の人がその命や人生に大きな痛手を受けるものです。そのような記録を調べ、社会や個人がどのように対処したかを調べるのが『医療人類学』という学問です

白山神社は疱瘡を始めとする諸病・疫病を封じる神として長く崇敬されてきました。その記録は平成の世に当社宮司によって『白山神社疱瘡神事の研究』と題した論文によりまとめ上げられ、医療人類学の視点から信仰の詳細が明らかにされました。

そこから導き出される一つの考え方は、江戸時代より前の人々は神や仏に参り、祈祷や加持、護摩などによって祈りを捧げることで心を強くし自身の免疫力や抵抗力を高めていたことです。

体の強さは個人差があり仕方がないことですが皆それぞれに異なります。ただ、心の強さは何かに支えてもらえることで強くなります。それが人の本当の意味の抵抗力なのだと思いますし、それは信頼する家族だったり友人だったりの人同士ということもありますが、それぞれの近くにある神社・仏閣・そして小さな小さな祠である場合もあるのだと思います。

どうか、身近をもういちど見渡し、自分が信頼できて心を少し強くしてもらえる誰かをまた何かを見つけていただければと思います。皆さんの心に灯る小さな信頼の灯がこの厳しく困難な時を乗り越える力になれば。