神さまのお話




 
今回はお正月の神さまのお話です

お正月の神さまと言われて、「?」と思われた方もあると思います。毎年配られる暦の本などで「歳徳神(さいとくしん)」という神をご覧になった方もあるかと思います。

この神は地方によって「年神様」「御歳神」、「大歳神」、「お正月様」等と呼ばれます。年を守って頂く神であり、年を越す時にお出でになります。この神がお出でになる方角を恵方と言い、一年を通じて清浄で大切な方角とされます。

白山神社でも大晦日の晩にこの神をお迎えする神事を神前で行い、白山さまから頂いた御神火を篝火の恵方の方角から灯します。つまり年末から年越しに焚かれる篝火は一年を守って頂く神をお迎えする迎え火なのです。

東北や東日本ではお正月前に歳徳神を迎える儀式が村境で行われます。それはまるで遠来の客を迎えるようであり「遠方のところよくお出で下さいました」という言葉で始まり、村役の家でお正月の間は神を接待し(大体十三日から十四日迄)、それが終わるとやはり村境で「つつがなくお帰り下さい」という言葉で送り火を焚いて送り出すと言われます。

「ああ」と思われた方もあるかもしれませんが、白山神社で行われる左義長神事は、この神を送る迎え火でもあるのです。余談ですが、元は左義長は各町内の出口で行われていました。

恵方について付け加えれば、この地方では「恵方参り」と言われ、名古屋城から見てその年の恵方の方角、西南西「笠寺観音、北北西の「甚目寺観音」、南南東の「荒子観音」、東北東の「竜泉寺観音」をお参りする習慣が尾張藩創設の頃から始まりました。