神様のおはなしG

神様のおはなしF ープロポーズの始まりー

 

今回は結婚についてのお話です。

 「結婚して下さい」と言うのは男性からでしょうか、それとも女性からでしょうか?そして、神話の時代はどうだったのでしょうか?

 神々の始まりの頃、天上にて多くの神々が生まれ、最後にイザナギ、イザナミの男女の神が生まれました。この神々に先輩の神々から「国を造りなさい」と、天の沼矛が与えられました。

 天の浮き橋に立たれた二柱の神々はまだ何もない泥海に矛を下ろし、かき混ぜると矛先に塩が固まって島ができました。これが『おのころ島』です。島に降り立ったお二人は天上に届く太い天之御柱を立て、柱を中心に八尋殿と言う神殿を建てられました。

 この八尋殿にてお二人は結婚をされます。天之御柱の周りをそれぞれが左右に周り、出会ったところでイザナミ神(女神)が「あなにやし えおとこを」(まあ、なんてよい男なのでしょう)、続いてイザナギ神(男神)が「あなにやし えおとめを」(まあ、なんてよい女なのだろう)と仰られた後結婚されました。しかし生まれたのは水蛭子(ひるこ)と淡島(あわしま)、いずれも不完全な神々でした。

 何が良くなかったか、お二人は悩まれ、天上の神にご相談なさったところ「女神が先に声を掛けたのがよくない」との言葉を頂き、改めて今度は男神が先に声を掛け、その後に山や川、水や木等多くの神々が生まれ日本の国が造られたとされます。

 この事は古い昔にはプロポーズは男性からという習慣があったからだと思われます。日本には古くから言霊信仰があり、言葉は正しく使えば良い結果が生まれ、そうでないと良くない結果を生むと信じられていたことを物語ります。

 昨年十月に出雲大社の千家国麿氏と高円宮家典子様の結婚式が出雲大社にて行われました。この際にお二人が天之御柱の周りで先の行事をなさいました。皇室にはこの行事はないことを考えると、先の結婚の物語が古い出雲の習慣にその端を発することがうかがえます。