神様のおはなし

 今回は木の神さまのお話です。

 宮崎駿監督の映画「もののけ姫」の中「コダマ」という精霊が現れたのは覚えていらっしゃる方も多いと思います。何とも言えないひょうきんな姿ですが、ちゃんと心を持っているようでした。古代の人たちはあんな風に深い森に神さまを感じていたような気がします。
 
 では、木や森はなぜ私たちの心に多くの何かを語りかけて来るのでしょう。日本人は古くからこの豊かな日本列島で、木を切って家を作り、また木を燃やして煮炊きをする等あらゆるところで木を用いながら生活をし、同時に同じ場所で再び木を育てる、その繰り返しの中で自らの生活を成り立たせて来ました。西洋の石の文化とは違う意味ですが、永遠の文化であると言えます。今年は伊勢神宮の二十年毎の建て替え、御遷宮の年ですが、世界中の心ある人々が、本殿を見るたびに「眼前に千三百年前の風景が変わらずある」と感嘆するとのことです。そういう文化を持つ日本人に取っては木というものはすべての源であるとさえ言えます。

 木の神さまは古事記の中では久久能智神(ククノチノカミ)と表記されます。この神は風の神であるシナツヒコノカミ(女神)と兄妹であり、同時に生まれています。
風は目に見えません。人々は姿の見えない風の神をどこで感じたのでしょう。

 大きな森の中を歩くと風が木を揺らします。森の外等では感じられなかった感覚
です。恐らく、古代の人は木の神々が風の神と共にいる、そんな風に思ったのかもしれません。